「月食」
作者: ハルさん

 

 

「ディアナ様、地球には月食というものがあるのですよ」
月明かりだけが光源の薄暗い寝室で、キエルは隣に居るディアナに囁いた。
「それは一体どういうものなのですか?」
「月が太陽と地球の間に来て、太陽の光を阻むのです。
太陽が月に食われている様で、それは不思議な光景なのですよ」
貴方にも是非見せて差し上げたい、とキエルはディアナの白い手を取って囁いた。
「それは面白そうですね。是非、見て見たいものです」
ディアナはふふふと笑いながら、自分もキエルの手を握り返した。
彼女がどういう気持ちでその言葉を言ったのか、それは想像に難しくない。
「地球の自然は本当に凄いものなのですね」
「月とはやはり違いますわ」
キエルは窓から朧で頼りない月明かりを見つめながら、次の月食の日はいつだろう、
と考えていた。


月食


月明かりに、白いすらりとした女性の裸体が浮かび上がった。
細い腰に、金の髪は月明かりを浴び輝いている。一本一本が光そのものだ。
キエルはディアナの体をそのままベットに押し倒し、そして自らの裸体をディアナに押し付けた。
指先でディアナの胸の赤い果実を摘み、それを勃ち上げようと愛撫を始めた。
「ディアナ様、今晩はどう致しましょうか?」
「……っ」
ディアナからの答えは無い。
キエルは艶やかな笑みを浮かべ、そしてディアナの蕾に軽く触れた。
「んぁっ!?」
ディアナの体が震え、そしてキエルの手の進入を拒み足を閉じようと足掻いた。
しかし、キエルの指はディアナの秘所にするりと入り込んで、その指は更に奥へ奥へと進んでいく。
「もうここが欲しいんですか?」
いけない方ですね、と耳元で挑発する様に、甘い息で囁く。
ディアナは声を抑えようと必死で耐えているが、キエルの愛撫にそれは無力なことだった。
キエルの指がディアナの敏感な箇所を乱暴に弄る度、びくりと大きく震える。
「あああんっ!」
思わず漏れた喘ぎ声は、自分でも予想していた以上に大きなもので、ディアナはそれが堪らなく
恥辱的なことだった。
同じ顔の少女に責められて、こんな風に感じてしまう自分。
例え様のない背徳感、屈辱感。
だが同時に、それは堪らない快感を齎しているのである。
自分は堕ちてしまった、と思う。
彼女に侵食されてしまっているのだ。月食で月に喰われた光みたいに。
「可愛いですわ、ディアナ様。ディアナ様の、そんなお姿を見ていたら、私も…」
キエルの吐息が次第に荒くなっていく。
二人は唇を何度も重ね合わせ、そして互いの好い箇所を貪りあう様に愛撫しあった。
「ああ、キエルさん、キエルさんっ…!」
もう名前を呼ぶことしか出来ない。乱れた吐息は甘い悲鳴を助長し、興奮は高まっていく。
互いの興奮が互いの体を高めていく。ディアナはもう恥さえ忘れ、獣に戻った様に喘ぎ声を上げ続けていた。
そのディアナを、キエルはどこか遠くで見つめている。
体の高ぶりは、もう少し敏感な箇所を責められたら果ててしまいそうな程なのに、頭だけは
酷く冷静だった。元々心と体は別の生き物だ。
「ディアナ様、私と貴方は、月と地球」
キエルが荒い吐息で囁く。喘ぐ様に、呻く様に、懺悔する様に。
「だから、一緒のものにはなれません。でも、繋がることなら出来る。
月食の月みたいに、互いを喰いあうことだって出来ます。」
キエルがそこまで言葉を告げた時、ディアナの指がキエルの一番好い箇所を弾いた。
キエルの体が震え、そしてその口から、絶叫が漏れた。


情事の後に見る月はいつも美しい。
「今度の月食はいつでしょうか、キエルさん」
「…まだ、判りません。年単位でやってくるものですから」
「そうですか。…生きている内に、見たいものです」
「必ず見れますわ。…いえ、見せて差し上げます」
キエルはベットの端から月を見つめているディアナに近寄り、そしてその肩を抱いた。
月明かりに溶けてしまいそうな程、儚く静かだった。
その時彼女は、先ほどにも増して、ディアナに強く月食を見せてあげたい、と思った。
ディアナ様、月と地球って、こんな風に互いを強く求め合うんです。
だから、貴方は間違ってない。
貴方の存在は、私達の存在は、絶対に、間違ってない。
キエルはそれを言いたくて堪りたかったが、ディアナの荘厳な雰囲気に圧倒され、
そのままぼうっと月を眺めていた。

 


月食という隠喩を使い「キデ」を表してくれたハルさん。
メッチャ最高です!萌えるし美しい形象だと思いました。本当にありがとうございました!

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